おやすみ、September

ラジオと音楽と少しだけ日々のこと

吉澤嘉代子と日比谷野外音楽堂と私が感じたこと

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吉澤嘉代子さんが高校生の頃サンボマスターのライブを観に行き、そこで自分もここで歌いたいと誓った場所、日比谷野外音楽堂に立つという、特別なライブに行ってきました。

人の夢が叶うという瞬間をはじめて観た日でした。

いつもライブに行くと感想のブログを上げてるけど、今回はちょっと違うというか、ライブの模様を伝えるのではなく、ほぼ私が個人的に感じたことで、このライブとはかけ離れた内容にもなるのですが、いろんなことを感じたし考えたし、できればこの気持ちを残しておきたくて書こうと思いました。

私が日比谷野音に訪れるのは、2016年の吉田山田祭り以来5年ぶり。6月の野音は湿度のせいか、草と土の匂いが立ち込めてました。

席は後ろから2列目だったけど、今回チケット取るのはかなり難しかったみたいで、一般で当選したのが奇跡のようでした。

特別なライブということでバンドメンバーもすごく豪華、そして舞台セットも嘉代子さんの衣装もすごく素敵でした。

始めに嘉代子さんが一人で出てきてギター一本で「東京絶景」を歌った時、夢が叶う瞬間に立ち会えて泣いてしまいました。

私はライブなどを観て「泣いた」という表現で感動を表すことが好きではありません。

私はなかなか泣かないタイプなのですが、嘉代子さんの歌を聴くとすぐに泣いてしまう。それはもちろん嘉代子さんの表現が素晴らしいのもあるけれど、今回他の理由も少しわかった気がしました。

まず一つは嘉代子さんはすごく歳下なので、娘みたいな視線で見てること。初めて嘉代子さんを意識しだしたのはラジオで「ストッキング」を聴いてから。それからANNRを一人でやった時も聴いたし「残ってる」で本格的に好きになりリリースイベントに行って、CDを買ってサインをもらって…となにげにまあまあファン歴はちょっとばかり長い方かなと思うので、その中で嘉代子さんの成長も見させてもらってきたから。だからよくここまで来たねという、親みたいな心があるのかもしれません。

もう一つは私も中学の頃不登校で、ほぼ学校に行ってないこと。私は嘉代子さんとは違う理由で行ってなかったけど(集団行動や友達を作るのが苦手ではなかった)激しすぎる思春期・反抗期を過ごしました。そういう部分は自分と勝手に重ねてしまうのかもしれません。

嘉代子さんが自分のような子供に届く歌を歌いたいと言ってるように、私は歳上だけど嘉代子さんの歌を聴いてると、あの辛かった思春期に向けて歌ってくれてるように感じます。

私も表現することが好きな子供で、歌も好きだったし、小説や漫画を書くのも好きでした。将来そういうことを仕事にできればいいなと思ったりしたこともありましたが、嘉代子さんのようにここまで来る才能も執念もなかったです。

嘉代子さんはサンボマスターのライブを見てここまで来たいと思ったようですが、私にとってそれは谷山浩子であり銀色夏生だったように思います。

ライブに来てる若い女の子を見て、こんなに若いうちに嘉代子さんのこと好きなんて、感受性豊かで人より傷つきやすくて大変だろうなと思うし、私が谷山浩子銀色夏生になりたかったように、嘉代子さんみたいになりたい子もいるのかなと思ったりしました。

毎年野外ライブは吉田山田祭りに行ってるけどそれは8月なので、この日はとっても涼しく感じました。

「ぶらんこ乗り」では心地好い風が吹いて、「泣き虫ジュゴン」では空を仰ぎながら聴くと、空の青さで海の中にいるように感じました。

席が後ろの方で会場全体を見渡せるようになっていたので、日が暮れていき周りが青く染まるのが見えてとても良かった。

暑すぎなかったので、自然の香りや空気を吸い込んで、五感で音を楽しめる余裕があったのもすごく良かったです。

とにかくこの日をこの場所で、嘉代子さんと同じ空気を吸ってることが、嬉しくてたまらなかった。

ウィンディの手紙からの「movie」はずるいほどの泣かせる流れでした。

「movie」からの4曲は「少女・吉澤嘉代子」を歌っているようで、本当に一人の少女の夢が叶ったんだなぁと思いました。

嘉代子さんは物語を作る人だ。でも完全な物語じゃなくて、どの曲にもリアルな嘉代子さんはいる。「地獄タクシー」を聴けば地獄に叩き落としてくれるし「麻婆」を聴けば中国みたいなどこかの国のお伽噺の世界へ連れて行ってくれるし「残ってる」を聴けば朝帰りしたあの日を思い出すし「サービスエリア」は恋人と世界にふたりぼっちになってこの世の終わりを感じた記憶が蘇る。

どんな幻想的な美しい曲でも綺麗事はなくて、絶対に共感できる部分がある。

曲ごとに、ライブごとに、女優のように七変化して魅せてくれた嘉代子さんだけど、今回のライブは本人も言ってた通り、素の吉澤嘉代子を観せてくれた。少女の頃野音に立ちたいと思っていた少女の吉澤嘉代子と今の吉澤嘉代子、リアルの吉澤嘉代子。それを観れたことがとても嬉しかったです。

私はわりと社交的な方だと思うけど、それでも人間関係には悩んできました。嘉代子さんはコミニケーションが苦手だと思うから、商業ミュージシャンには向いてないのかもしれない。しかもバンドではなくソロ。周りのスタッフさんやバンドメンバーに支えられてるけど、基本的には吉澤嘉代子という看板は一人で背負ってるし、孤独だと思います。でもサンボマスターのライブを観た初期衝動で野音に立ちたい!というその思いだけで、相当辛い思いや苦悩をしてきたと思うけど、ここまでやってこれたなんて本当にすごいし強いしなんて素敵な人なんだろうと思う。同じ女性として生まれてきて誇りを持てると思ったのは、嘉代子さんの存在が初めてかもしれない。

アンコールで嘉代子さんが客席に降りてきて、舞台に向かって歌った時も涙が止まらなかった。

そこで歌うのは少女の嘉代子さんが、夢の舞台へ向けて歌った歌。

野音のために買った緑のギターで、少女の頃に作った「みどりの月」を披露してくれました。

私が今一番好きな色は青緑なんです。青でもなく緑でもなく、エメラルドグリーンのようなターコイズブルーみたいな色。この日のネイルも緑だったし、今の髪のインナーの色も緑なので、なんだかすごく嬉しかった。

ここからさらに私の個人的な思いになるのですが、嘉代子さんが立って歌ったところ、5年前吉田山田のライブで吉田山田も立って歌った場所でした。

あの日は豪雨で吉田山田もお客さんもずぶ濡れになって、吉田さんは雨で足を滑らせ台から落ちたなぁとか、山田さんは泣きながら歌ってたなぁとか、みんなでラララと歌ってたら雨が魔法のように止んだなぁとか、そんなことが蘇ってきて、しばらく大好きな吉田山田のライブに行けてないことが寂しかったことも思い出して、感情がぐちゃぐちゃになりました。

正直大好きな吉田山田のこと、最近心が離れてる気がして焦っていました。あんなに好きだったのにどうして?と不安でたまらなかったです。

でもこの日のライブを観て、人は死んでまた生まれ変わるの繰り返しなんだなと思いました。

死ぬって言い方はあまりよい言葉ではないですが、例えば嘉代子さんがずっと掲げてきた夢はここで一度死んで、新たに生まれ変わった吉澤嘉代子は続いていく。

吉田山田も10周年に向けて命を削ってアルバム三部作を作り、そこで今までの吉田山田は死んで新たな吉田山田が生まれ変わった。

私の吉田山田へのがむしゃらすぎる好きだという思いも一度死んだのかもしれない。でもまた生まれ変わって、これまでの「好き」とは違った「好き」が生まれるんだと思います。

人によってそれは蘇生と呼んだりアップデートと呼んだりするのかもしれませんが、私は人は常に死に続け生まれ変わるんだと感じました。だから不安にならなくていいと思ったんです。

そして最後にバンドメンバーに夢を聞いていくところでは、みなさんの夢がそれぞれ個性的で、小さな夢から大きな夢から面白い夢までありました。

私は夢って偉い人になるとか何かを成し遂げなければならないのかなと思ってましたが、もっと肩の力を抜いて、こういうことしたいな〜って思うことでいいんだと思いました。だから私にもこの日から夢ができました。本当に夢と言っていいかわからないほど小さなことなので誰にも言ってないし、夢というより目標かな。でもそれを見つけられただけで嬉しかったです。

帰りいろんな意味で打ちのめされて帰ったけど、周りのお客さんの話してることが耳に入ると、結構みんなあっけらかんとした感想を明るく言い合っていて、私も20代半ばで一番ライブに足を運んでた時は、特に何も考えず歌って踊って跳ねてただけだったし、そんなものなのかもなとも思いました。

私は20代後半くらいから詩や文章が書けなくなって、感受性がなくなったと思ってたのですが、こうやって歳を重ねても打ちのめされるくらいの感受性は戻ってくることもあるんだと思いました。

ある程度の年齢になって自分なりの哲学や考え方や生き方が決まったなと思っても、日々その考え方は変わってるので、やはり死んで生まれ変わるの繰り返しなんだと思います。

家に帰って山田さんがこのライブに来てたことを知りました。

さっきも述べたようにライブ中に吉田山田のことを思い出してた時もあったし、5年前山田さんが個展をした図書館を見たりして懐かしかったので、山田さんとも同じ空間にいたことがものすごく嬉しかったです。

本当にこのライブとはかけ離れた内容のブログになってしまいました。

これでもこのライブで感じたこと、すべて吐き出せてはいませんが、私がこの文章を読んでこんな気持ちだったんだなと思い出せればいいなと思います。

こんな風に言うのは上からみたいだし偉そうですが、おめでとうございます、ありがとうございます、よく頑張りましたね、やりきりましたね、すごく立派でした、素敵でした、最大限の賛辞を送りたいです。そしてどうかこれからも素敵な音楽と一緒に物語の中に連れていってください。

<セットリスト>
M1.東京絶景
M2.ユートピア
M3.月曜日戦争
M4.怪盗メタモルフォーゼ
M5.鬼
M6.恥ずかしい
M7.麻婆
M8.えらばれし子供たちの密話
M9.サービスエリア
M10.地獄タクシー
M11.ぶらんこ乗り
M12ルシファー
M13.刺繍
M14.残ってる
M15.movie
M16.泣き虫ジュゴン
M17.ストッキング
M18.ものがたりは今日はじまるの

EC1.みどりの月(未発表曲)
EC2.雪

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〈バンドメンバー〉

ゴンドウトモヒコ/Bandmaster, Horns, Sequence
伊澤一葉/Keyboard
君島大空/Guitar
伊賀航/Bass
伊藤大地/Drums
武嶋聡/Sax, Flute, Clarinet
高原久実/Violin
加藤哉子/Chorus

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